本科目は、メディアセンターFabSpaceにおかれている3Dプリンタやレーザーカッターで、とりあえず「簡単なもの」を出力できるようになった学生が、さらに高度に、きちんとした「もの」を筋道立てて設計していけるようにすることを目的として開講されてきました。
Fusion360やそれと同等のCADソフトは使ったことがあるけれども、3Dプリンタ特有の制約(素材の性質、サポート材、異方性、寸法精度など)を加味して、正しい3Dデータがつくれるようになることも目的でした。
しかしながら今学期は、コロナウィルスに伴う原則授業オンライン化の方針に従い、この授業方針を、一部修正せざるをえません。そこで緊急で下記のような内容にしたいと思います。
今年の夏を目途に、「コンピュテーショナル・ファブリケーション〜折ると詰むからはじまるデザインとサイエンス」という教科書を出版する予定です。
この本では、3Dプリンタやレーザーカッターの扱い方も多少は出てきますが、それよりもむしろ、その背景となる「幾何学(図学・図形科学)」の理論に焦点を当てています。そうした数理的な知識を引き出しとして持っておくことによって、ファブリケーションの可能性を最大限引き出せるようになることを目指して、教科書としてつくってきました。
そこで今学期の授業では、この『コンピュテーショナル・ファブリケーション〜折ると詰むからはじまるデザインとサイエンス』を教科書として採用し、3Dプリンタやレーザーカッターが手元にない環境であっても、「手作業」による折り紙や積み木の製作、そして、コンピュータ上の3Dモデリング、レンダリングの作業によって、ファブリケーションの「基礎」が学べることを目指します。
みなさんのメインの制作場所は自宅になり、材料は主として紙や粘土などになるでしょう。
1学期をかけて制作したものを、授業の最終回だけは、オンキャンパスで行い、学期をかけてつくった制作物を、お互いに実物を見せ合う会を実施したいと思います。
なお、SFCに自由に通学できるようになったら、ぜひFabSpaceの3Dプリンタやレーザーカッターをより高度に使いこなし、デジタルファブリケーションを自分のものにしてほしいな、と切に望みます。