
本講義では、情報科学と脳科学の両視点からの知識処理論について学ぶ。
情報科学の視点からは、データベースなどのビッグデータからの知識獲得技術として注目されているデータマイニング(データ発掘)の方法、および、マルチメディア・データ(画像データ、動画データ、音楽データ、文書データ)を対象とし、それらのマルチメディア・データの検索、編集、統合を実現する知識ベースの構築方法を習得する。マルチメディア知識ベース化を行う具体的な応用分野(自然、社会、芸術、生命、医療、地域、科学、交通などの表現)を設定し、その分野の知識ベースを実際のシステム上に構築する。また、マルチメディア知識ベースの構成方式および知識表現モデル、データ構造、操作系について学ぶ。さらに、マルチメディア知識ベースを対象とした連想検索系、感性情報検索系について学ぶ。実際に、マルチメディア・データを対象とした意味的連想検索系、感性情報検索系の構築の実習を行う。
脳科学の視点について、近年の脳科学の発展に伴って、人間の脳内における知識処理のメカニズムが明らかになってきた。後半の講義においては、 主に視覚系や聴覚系における外界からの知識の獲得・処理機構、記憶系における知識の保持機構、マルチモーダルな知識処理に機構について、脳科学的な視点か ら学習する。同時に、解剖学的な脳の構造や伝導路を十分に理解し、末梢性・中枢性の錯覚を実際に体験して、現象から知識処理を習得する。