ソーシャルファイナンスは、社会的な事業に必要なリソースを調達するためのスキームである。古くは「無尽」のような相互扶助制度や協同組合金融等の形にも遡ることができるが、現代においてはESG(環境・社会・ガバナンス)投資は金融市場に大きな影響を与えており、またインパクト投資(Impact Investing)は社会的投資の新しい潮流として、G8でのアジェンダにも挙がり、その手法にも社会的インパクト評価や社会的インパクト債(Social Impact Bond)の様な様々なイノベーションが生まれている。その市場規模も拡大しており、市場メカニズムに則り、金融システムを活用して社会的インパクトを最大化する手法に関心が高まっている。
ソーシャル・ファイナンスという言葉には、一般的には投融資が想起されるが、実際にはその投資先・支援先が社会的事業であるがために、通常の投融資だけではなく、助成や寄付もその範疇に含めて議論される。また、情報技術の進展により、インターネットを媒介にしたクラウド・ファンディングなどの技術的な進展によって、新しい形のソーシャル・ファイナンスのスキームも生まれている。
本講座では、こういった社会的金融の社会的な潮流について理解をし、社会変革のためにはどのような形のリソースの動員が必要とされるのか、それを実現するための社会的な仕組みのイノベーションとはどのようなものかについて実践的な知識を身につけ、社会的事業に応用することができるようになることを目指す。