本講義では、それぞれに独立に発展してきた環境分野と情報分野を対象として、新しい領域としての環境情報システムの構築方法について学ぶ。実空間の環境(“実環境空間”)から獲得する大規模環境データとして、人の流動データ、大規模画像データ、自然環境データを対象とし、 “環境情報空間”において環境変化の原因・影響を計量することにより、(1)平常時に緩やかに進行する環境変化を検出し中長期的変化に対応する機能、および、(2)緊急時に環境へ急激なダメージを与える変化への即時対応機能を備える、“環境情報システム”を設計・構築する手法を学ぶ。近年のセンサ機器の発展、および、ストレージ装置の大容量化・高速化に伴い、従来よりもはるかに再粒度での環境データを扱えるようになっており、環境データの科学的な理解と解析には、大規模データ処理の技術が不可欠となっている。本講義では、 ICT技術を活用した環境計測、分析、情報配信システムの構築を習得し、実際に環境データを対象とした解析能力を身につけ、環境データや対策手法に対する科学的な見方や考え方を習得する。具体的には、実空間の環境(“実環境空間”)の監視・制御を対象としたハードウェア技術として、実環境上のセンサ機器制御のための技術、“環境情報空間”における環境変化の原因・影響を計量するICT技術として、環境データベースシステム、環境ユビキタスシステム、環境動画像データ処理について学ぶ。また、情報空間で得られた結果を元に環境モデリングについて学ぶ。モデリングにおいて基本となる、常微分方程式の解法、偏微分方程式の解法について学び、GPGPUやマルチコアの並列計算機を用いてモデリングの実習を行う。