
情報通信技術(ICT)が潜在力を最大限発揮し経済成長と社会課題解決に貢献するには、技術が確立され、関連の製品が開発され、インフラが整備され、さらに、実際にその技術を活用する能力を人と社会が備えることが必要です。これは、市場や自由競争に任せているだけでは実現しないか、問題のある形で実現してしまうことが通常であり、様々な場面で政策介入が必要とされます。こうした政策の理解は、今後も出現していく新たなデジタル製品・技術を巡る社会のダイナミクスの予測や利用に資することになります。
本講義では、まず、携帯電話・インターネットなどのネットワーク技術を中心に、情報通信技術の社会展開を推進することの重要性を示すため、経済成長や社会問題解決にとっての情報通信技術の存在意義と情報通信技術に対する政策支援の必要性を解説します。また、政策理解に必要な基礎知識の解説を行います。
その上で、主な政策種類ごとに具体例を取り上げ、その立案の契機やもたらした影響などについて、国際比較の視点を採り入れながら議論します。また、今後のデジタル技術にかかわる政策に関する一定の検討課題を設定し、学生参加のもと議論を深める機会を設けます。