
この授業では日本の地方自治体について、そのしくみをさまざまな角度から考えてゆきます。あなたの地方自治に対するイメージとはどんな物ですか? 国の末端の雑用を処理する「支店」のような機関? 働かない役人と非能率や汚職、利権あさりの巣窟? ゴミを持って行ってくれ、水道と学校がお仕事、住民票と印鑑登録をしてくれる役所? およそ考えるに値しない存在のようですが、地方自治体はみなさんの身近な政府、国と共同して行政を行い、日本の民主的な統治の一端を担う、れっきとした政府機構の一部です。この授業では、国の統治仕組みの中の地方自治の位置づけに始まり、地方自治体がよって立つ地域コミュニティーと、そこを舞台に地域で活躍する各種の団体、決定への住民の参加と役所に集まる地域情報の共有、役所の主人公である知事や市町村長などの首長(しゅちょう、地方自治の世界では「くびちょう」と読む)と地方議会、行政組織と、そこで行われている行政活動をめぐる各種の課題、大都市行政の特性や危機管理などの地方自治をめぐるトピックを取り上げて、日本の地方自治への理解を全般的に一段と深めることを目的とします。そうすれば、地方自治体は単なる「国の雑用係」という、つまらない物ではないことが明らかになるでしょう。