
1990年代以降の世界は、いわゆる経済面でのグローバリズムの進行を経験しながら、同時に東西冷戦構造の終焉とともに勃発した地域紛争と背中合わせとなる状態に置かれるようになり、紛争解決が半ば放置された結果としての「失敗国家(failed state)」から発せられる脅威にも遭遇した。また、気候変動やエボラ出血熱のようなパンデミックに代表される課題のように、主権国家や地域フォーラム、あるいは政治イデオロギーで結ばれたブロック等による対応が無力に等しい、広範な連携と地球規模での取組みが不可欠となる危急を要する脅威が注目され、その対応策や解決策が様々なフォーラムで模索されるようになっている。本講義では、このような対応を要するイシューを幅広く取り扱い、多国間協調に基づくガバナンスのあり方を検討する。