
微生物バイオインフォマティクス
近年の生物学的データの爆発的増加により、従来の仮説検証型の科学に加えて、データ駆動型(仮説生成型)の生命科学が可能になった。このような複雑で大規模な生物学的データの解析には生物統計学・生物情報学(バイオインフォマティクス)のスキルが必須である。この科目では、大規模データからロバストで再現可能な知見を得るための実践的なデータスキルを習得する。履修者は、オープンソースのツール(Unixシェル、R/RStudio)を用いて、生物統計情報学の課題に取り組む。あらゆる分野の学生が、生物統計情報学的手法を応用して、独自の分野(生物学、マテリアル、建築・都市デザイン、気象、社会科学など)の問題解決に取り組む。例えば、土壌や人工環境(地下鉄の駅、バス停、学校、病院、国際宇宙ステーションなど)におけるマイクロバイオーム・データを用いて、微生物群集の分類学的・機能的組成、薬剤耐性、プラスミドや(新型コロナウイルスを含む)ウイルスなどの可動性遺伝因子を調査し、サンプルの微生物群集構造に影響を与える共変量(都市、人口密度、建物表面の種類と材料、気候、経済的・社会的要因)を同定する。分子進化解析では、抗菌薬耐性遺伝子と一本鎖DNA結合タンパク質(SSBP)をコードする遺伝子の公共データベースの配列を比較し、保存領域(モチーフ)の同定と系統樹の推定を行う。