
野外オミクスプロジェクト
生物は自然環境の多様な環境情報を受容し生理活性や行動を変容させながら, 変動する自然環境下で生育している. しかしながら, 一般的な分子生物学実験は,実験者が注目している生物学的な変化を捉えるために,本来の生育環境とは異なり,単純化された環境で生物を生育させることが多い.このような実験室の中の研究のみでは, 生物を取り巻く複雑な自然環境を忠実に再現することは困難である.つまり, 自然環境下で起こる多彩な生物学的現象を理解するには,自然環境下にある生物を対象とした実験が肝要である.
そこで野外オミクスプロジェクトでは, 気温等の環境情報と, 自然環境に生育する生物を対象としたオミクス情報を統合して考察することで, 自然環境下における生物の環境応答を理解することを目的としている.
野外オミクスでは様々な自然環境条件でのサンプリングが要求されるため,サンプル数が肥大化し,大規模なオミクス解析になることが予想される. そこで, 大規模オミクス・野外オミクスに関する先行研究のサーベイを行い, 効率的な解析手法や, 解析における既知のボトルネックをあらかじめ理解しておくことは研究を始める進める上で重要である.
本夏プロジェクトでは以下の(A)~(C)の3 つのテーマからサーベイを行い, 分野全体を俯瞰して議論する. また, それらの対象生物種やサンプル数, 分析に取り入れた野外環境の変数について考察し,この分野の特徴を調査する.
A) 様々な生物における大規模トランスクリプトミクス
B) 植物の大規模トランスクリプトミクス
C) 野外トランスクリプトミクス