
社会における人や組織の戦略的相互依存関係を分析するゲーム理論の、初歩から比較的高度な内容までを駆け足で講義する。数学的な厳密さを追求するよりは、受講者にゲーム理論的な考え方を理解してもらう事を第一義に考えたいので、特に高度な数学的知識は必要とされない。しかし、説明自体は論理性を可能な限り重視したものとなるよう心掛ける。
扱う内容はオーソドックスな非協力ゲーム理論が中心となるが、限定合理性(進化ゲーム理論)・ゲーム実験に関する最近の話題や、協力ゲーム理論の一部が含まれる。本講義の受講者には、複雑な社会現象をただ単に表層的に記述する事に満足するのではなしに、こうしたゲーム理論のフレームワークを用いた能動的な分析を通じて、社会現象のメカニズムへの明晰な理解と、現実問題に対する固定観念を排した柔軟な思考を身に付けてもらいたい。