
安全保障は古来より国家の最も重要な課題であった。今日の安全保障論は、国防(Defense)の概念から、多元的な安全保障(Security)の概念への変遷を背景として、21世紀の新しい概念構築を要請されている。冷戦後の複雑化した地域紛争、民族紛争、失政国家の内戦、9.11テロ後の非対称アクターの台頭、中国を筆頭とする新興国の台頭(パワーシフト)が国際安全保障にもたらす意味、新しい技術の登場が安全保障にもたらす影響を多角的に検討する必要がある。本講義では、1)安全保障の概念と政策体系、2)国際紛争のスペクトラム分析、3)対称・非対称な紛争のケーススタディ、4)予防・抑制・抑止・紛争介入・平和維持・平和構築の諸段階における安全保障政策、5)欧州とアジアにおける地域安全保障アーキテクチャ、という諸側面から議論を深めることとする。