
すでによく知られているように、企業が持続的に成長し発展をとげていくためには、強力な企業統治(コーポレート・ガバナンス)の仕組みが不可欠である。さまざまな企業犯罪や企業不祥事が発生するたびに経営者を効果的に監視するシステムが議論される。しかし、企業犯罪を未然に防ぐことは、コーポレートガバナンスの一側面に過ぎない。一方、企業はグローバル市場においてダイナミックな経営を実現しなければならなく、そのためには経営者に対する効果的な動機付けもまた必要である。これもまたコーポレートガバナンスももう一つの側面を構成している。
さらに重要な要素となるのが、コーポレート・ガバナンスの「仕組み」とともに、実際にその仕組みの核心に存在するトップマネジメント(最高経営者、あるいは最高意思決定権者)である。
本講義では、コーポレート・ガバナンスの概念や理論的背景(株式会社論)を踏まえ、日本と韓国における具体的なコーポレートガバナンス問題を歴史的な視点から考察する。
本講義で取り扱う予定の企業は日本企業としては三越百貨店、松下電器(現パナソニック)、キッコーマン、日立製作所、中外製薬、韓国企業としては5大財閥(サムスン、現代自動車、LG、SK、ロッテ)および韓進・斗山などである。