
財政には政府の歳入活動と支出活動がある。前者には租税と公債,後者には公共投資と社会保障という柱がある。構造改革や事業仕分けとして話題になってきた問題の多くは民主主義的な意思決定を経ない財政支出をいかに抑制するかが核心であった。少子高齢化が進んでいる今だからこそ,地方分権を目指した地方行財政改革あるいは国・地方の債務といった重要課題は解決の道筋をつけることが求められている。この講義では国の歳入(収入)と歳出(支出)について学ぶ学問である財政学の標準的な知識と理論を理解し,現在のわが国をとりまく重要な財政問題について考えることを目的とする。個別的には社会保障制度(医療・年金・福祉)、歴史的経緯に見方が偏りがちな租税システムについて公平な税制とは何かを検討したい。