
「腸内細菌が私たちの行動を支配している!?」「太ってしまうのは実は腸内細菌のせいだった!?」
実はこれらは嘘のような本当の話です。私たちのおなか、すなわち腸管内には体を構成する全細胞数と同じくらい、あるいはそれ以上と見積もられている腸内細菌が生息しています。腸内細菌の集団を腸内細菌叢と呼びますが、これらが宿主の腸管神経細胞や内分泌細胞、免疫細胞とクロストークすることで、われわれの体に様々な影響を与えています。本講義では、健康維持・増進に寄与する腸内細菌叢の機能や、ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスを含むヨーグルトなどの乳製品の機能について概説するとともに、粘膜免疫系の発達における腸内細菌叢の役割や、腸内細菌叢のバランスの乱れがもたらす様々な疾患、それらの適切な制御による疾患予防・治療方法について、最新の知見も交えながら解説します。