
この授業では、デザインに必要な素養としての「観察」と、観察したものを解釈し表現する手段としての「描画(スケッチ)」や「作図(ドローイング)」の演習を行います。
デザインは人と人を取り巻く世界との関係に対するはたらきかけであり、課題の発見(観察)、解決方法の考案(解釈)、実体化(表現)という行為が含まれます。手描きのスケッチにはこれらの行為が含まれています。今日、デジタル機器を用いたセンシングやモデリング、レンダリングの技術が進歩し普及していますが、このような時代でこそ実空間のなかで身体を用いて観察し表現する練習は、デジタル技術を使いこなすためにも重要です。
この授業は、これから何らかのデザインの領域に進むことを志す初学者に対する入門的な授業であり、スケッチやドローイングの未経験者も対象としますが、単に絵が上手になるための演習ではなく、空間・景観を観察し、その形態・構造・意味を考え、絵や図に表現するためのプロセスと理論を学ぶものです。
また、この授業は同じ科目名で秋学期に開講される授業と関連します。どちらも同じように観察と表現を課題にしますが、担当教員は異なり、理論の観点や使用する道具に違いがあります。両方を合わせて履修することもお勧めします。