
近年の爆発的な技術の進展により、生命科学の主流はは分子レベルのビッグデータサイエンスになりつつあります。そうしたアプローチが明らかにするのは、分子機械としての生命システムのしくみと、系統樹と名づけられた、生命情報の統計学的相関図です。数多くの謎が解き明かされ、多方面に応用される一方で、未解決のままである素朴な問題も数多くあります。なぜATPを使うのか、生命の最初のエネルギー源はなんだったのか、どうやってミトコンドリアは進化できたのか、動物だけが自在な移動能力を獲得できたのはなぜか、一部の動物だけが温血性を獲得したのはなぜか……この授業ではこういった素朴な質問に、現時点でどこまで答えることができているのかを考えます。