
「論争のない歴史は死んだ歴史である」といった歴史家がいました。われわれがいま、漠然と歴史と考えているものは、自明なものとして初めから存在したわけではありません。そこで、今年度も、どのような過程を経て、歴史が「学」として形作られていったかを考えていきたいと思います。しかし15回の講義で、すべてに言及することは不可能です。したがって、西欧の文明の基層に対する理解を深めることを第一目標とします。歴史研究の方法論を身につけることも、副次的な目標とします(実は、これこそがこの科目の設定趣旨に一番かなうことなのです)。
世界史を既に学んでいることが望ましいのですが、講義の進度にあわせて自分で学ぶ意志のある学生は歓迎します。ただ、本を読むことが嫌いな学生、物事を考えたり調べたりすることが嫌いな学生、単位取得のみをのぞむ学生、そして何より「根性」がない学生は履修を遠慮してください。