
「質的調査」の社会学
未定であるが、例年では、一期は社会学や哲学の古典文献を読み、一期は近代日本について講義ないし文献購読を行っている。
昨年度秋学期は2010年代の社会学の文献、今年度春学期はマルクスの著作を集中的に読んだ。それらを踏まえて、2022年度秋学期は、現代日本を対象とした主に質的調査による社会学の実証研究と、それらの理論的基盤ともなった古典的著作を両翼に据えて、中間を「現代社会における自我と他者」を生涯のテーマとした見田宗介の著作で架橋するという構成を考えた。若年層の非正規労働者や地方移住者、部活動、沖縄とヤンキーなど、現代日本の質的調査から入り、日本を対象に量的・質的調査と理論分析の限界を見極めようとした見田氏の著作を経て、古典的な著作を二回ずつに分けて読む。参加者は、現代日本の状況に理解を深めつつ、それを調査する社会学的な方法論を学び、さらに理論的な古典までを読み解く力をつけることができるだろう。
こうした社会学文献を読み、討論していく。毎回一人の受講者に20~25分程度の報告と論点提起をしてもらったうえで、担当者の追加の講義を行い、受講者がみな討議する。 担当者の「現代社会理論」を読んでいれば内容は読解可能であり、また読みやすい本が多いので、全員が課題図書を読了していることを前提に、受講者相互のディスカッションや教員との質疑応答を重視していきたい。