中国は一般に中央集権国家であるといわれていますが、基層社会においては中央にとって想定外の事態が次々と起こる国です。一党統治の維持を前提にした中央集権が、実は地方の暴走につながるという深刻なパラドクスを抱えています。改革開放後約30年を経たといわれる現在、そうした矛盾はより深刻化しているといえるでしょう。そこで本講義では、民族、歴史、文化、制度といった観点から諸相から諸問題の根源を見つめ、中国の「国家=社会」関係について考察します。