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科目名サブカルチャーと社会認識

授業概要

学部・研究科
総合政策・環境情報学部
登録番号
13139
科目ソート
B6124
科目名
サブカルチャーと社会認識
分野
基盤科目-共通科目
単位
2単位
開講年度・学期
2022 秋学期
K-Number
FPE-CO-03303-211-08
開講年度・学期
2022 秋学期
曜日・時限
金 4限
授業教員名
川田 健
実施形態
対面
授業で使う言語
日本語
開講場所
SFC
授業形態
※「授業形態」と「能動的学修形式」の対応についてはこちらをご覧ください。
講義
GIGAサティフィケート対象
非対象

詳細

講義概要

 本講義は、日本のマンガ・アニメ文化(以下ACGN文化)の台湾での受容の様相を見ることを通じて、文化が越境することの意味を考察することを目的とする。国民党遷台後、日本の大衆文化は禁止されたが、特に70年以降、海賊版のマンガが大量に流入した。それ以来、日本マンガは台湾社会の中に受容される一方、大きな批判も受けることとなった。批判を受けた大きな要因は2つある。一つは日本国内でも常に問題とされてきたもので、エロと暴力に象徴される品格の問題である。もう一つは、日本文化流入が文化侵略となるという、文化帝国主義の視点に立つものである。後者は特に90年代から00年代初期に起きたが、ACGNの愛好家はそれ対する反対の論陣を張り、ACGNを「われわれの文化」として昇華する試みがなされてきた。その時代の論者は、やがて研究者や同人イベント経営者として当該文化の発展をリードしている。
 本講義では台湾におけるACGN文化受容の諸相を、主に学術研究・在野研究の成果を通じて理解することを目標とする。具体的には、まず、50年代以降の台湾における漫画文化の展開を、ACGN文化研究の代表的な研究者である陳仲偉氏の著作を参照しつつ概観する。次に90年代から00年代に起きたいくつかのトピックについて概観する。その後で、ACGN文化をテーマとした修士論文の傾向をまた、授業の後半は、日本のACGN文化に関する基礎的な話や、ACGN文化のローカライズの具体例として、日台合作の人形劇「東離劍遊紀」について紹介する。本講義を契機に、文化が決して国境に単純に回収されるものではないことを理解していただければ大変ありがたいと思う。