
本科目は、総合政策学部・環境情報学部では「未来創造カリキュラム」の総合講座科目に、看護医療学部では必修科目になっている。慶應義塾が、そしてSFCが重視する実学について理解を深めて欲しいからである。また、慶應義塾に「入門」した塾生諸君が、学年を問わず、義塾での勉学と生活の意義を考える機会となることを意図している。
SFCで取り組んでいる多くの分野は非常に実践的な学問であって、実学の最たるものであるという印象を受けるかも知れない。しかし単に実用的な学問だから実学なのだと考えるのであれば余りに短絡すぎるし、すぐに役立つことばかりに目を奪われてその背後にあるべき人間と人間社会への深い洞察を軽んずることになりかねない。「実学」という言葉は近年あまりに安易に使われるきらいがあるが、その本来の意味は、もっと深く、かつ広がりのあるものなのである。それを知る鍵は、実学を標榜した福澤先生と、その考えを受け継いできた慶應義塾の気風と歴史の中にある。単なるハウツーに堕することなき「実学」を塾生諸君には目指して欲しいと思う。
本科目では、自分の専門との関わりの中で福澤先生や塾史について研究を進めている、多彩な領域の研究者・実業家を毎回塾内外から招き、 連続講演の形式で行う。