
本講義では「情報倫理」や「情報モラル」の決まり事を学ぶのではなく、「情報倫理」そのものを設計実装する立場から考えます。社会で実際に発生しまさに今解決が必要な諸問題をとりあげ、規範、アーキテクチャ、市場、法などの観点からディスカッションを行い、正解のない問題に自らの倫理観に基づく答えを見出す力を養います。事例としては「著作権とイノベーション」「セキュリティとプライバシ」「追跡性と表現の自由」など相反する多様な価値観から調和的な技術と制度のデザインが求められる領域をとりあげます。受講者は、実際的な倫理的課題に取り組むことで、背景にある根本思想とアーキテクチャを理解し、利用者、開発者、経営者、政府など様々な立場において倫理的な課題を解決する前提となる知識やスキルを身につけます。想定履修者は情報技術、メディア、セキュリティなどの開発運用者、コンサルタント、政策担当者などのキャリアを目指す学生です。