
ヘルスサイエンス(健康・幸福な街づくり)
○ごんばち移築、農泊・自然観察・健康な農業講座などの古民家の活用事業の企画〜運営
○湘南慶育病院と健育祭とオーガニック農業、農家資格取得等実践研究
○健康と文化の森から遠藤・御所見へのフットパスの形成、竹林と竹細工の子供教室の企画〜運営
○Intercultural Community、留学生と外国人のインバウンドへのおもてなしの企画〜運営
本研究会は、もう一つの研究会が進めるヘルスサイエンス(健康科学)に関する基礎研究(是非見てみてください)の成果を基にして、個々人の健康長寿及び健全な地域社会の形成を目指して、現場で試行錯誤する「健康のまちづくり」を実践してゆく。
世界で進む急速な高齢化の波の最先端に位置する日本国は、65歳以上の人口が2030年には30%、2055年には40%を超えるとの推計の下、現在約40兆円を超える医療財政負担を抱えている。世界一の超高齢化社会へと進む中、日本国民が幸せに生きる社会をいかに築けるか。世界に先駆けて超高齢化社会を経験する危機的状況は、世界を変える解決策を導くチャンスでもある。
こうした国際課題を抱える中で本研究会が取り組む「まちづくり」とは、一つの領域の取り組みで完成するものではなく、一つの「まち」の中で多様な人間関係・事業関係が複雑・重層的に絡み合って成り立っている。そのまちづくりに関して、「健康」という基軸を設定して、複数のテーマ・取組に関わって、「まち」の課題解決を目指す。2022年1月現在、本研究会では、下記の研究に取り組んでいる
◆湘南慶育病院と連携して、熟年層向けのスマホ基本講座の開催、その応用編となるオンラインリハビリや遠隔診療の促進、オフラインでのリハビリウォーキングコース作成及びオンラインリハビリ担当の整形外科医・理学療法士による参加者健康診断のシステム構築
◆看護医療学部の裏に立地する健康の森を舞台として、障害のある人々も家族や友人と共に「自然の感動」を得られる「多様な学びの場」を、Miura Dolphins, 信州大学と連携して構築するための医学研究及び社会システム構築を目指すインクルーシブ教育プロジェクトへの参加
◆湘南台アートスクエアプロジェクトと連携して、ストリートピアノを設置した湘南台駅駅地下から、湘南台をアートと音楽の溢れるまちにするプログラムの企画運営
◆遠藤地区で馬を飼う乗馬インストラクターと場主、御所見地区の乗馬クラブ湘南と連携して、地域の草競馬の歴史を紐解き現代文化に仕立てる「Horse School プロジェクト」の推進
◆アヤアルケミストと連携して、主に観賞用とされてきた日本在来植物が持つ健康への有効成分に着目し、SFC近隣の緑地に自生する植物を飲食の素材として採取・栽培、加工、活用 する「和ハーブプロジェクト」の推進
◆古民家ごんばちに集まる遠藤・御所見の農業者・飲食店、藤沢市役所、藤沢北部に立地する日大・多摩大と連携して、米・野菜・果樹の生産~収穫体験を通じた藤沢ブランド品の企画、古民家ごんばちでの農泊の企画・運営
◆東急不動産HDと連携して、With コロナ時代の都市ユーザーと共に、郊外や中山間のリゾート地に存在する多様な魅力を活かして、SDGs や地球温暖化等の世界レベルの取組を身近な暮らしで実現する”Green Lifestyle”を共創する企画・事業の提案及び実施
◆上記全てを総合して健康長寿日本一を目指す都市デザイン“Bloom City”の実現に向けて、藤沢市北部の住民・市民組織、地場産業・企業、大学、病院、自治体が一体となって取り組む「慶育祭」の企画運営
このような研究会としての実践以外にも、学生達が創意工夫したオリジナルな研究を実践している。
●ヘルスサイエンスの研究結果を基に、健康寿命延伸に最も寄与すると言われたスポーツ「テニス」に関して、コミュニケーション、運動強度、食事等の面から健康長寿を高めるプログラム研究
上記研究に従事する本研究会では、三浦豪太氏(三浦雄一郎の息子で、元オリンピックスキー選手、アンチエイジング社会研究者)藤沢市役所所員や全国の健康まちづくりに実績のある本研究会上席所員等、多彩な分野の研究者で構成されている慶應義塾大学SFC研究所ヘルスサイエンス・ラボスタッフがサポートする。またSFCに隣接する湘南慶育病院ともヘルスサイエンス・ラボは密接に関与しており、全国から集まってくる優秀な医師との共同研究や病院と社会提言できる環境を整えている。
本研究会への参加学生は、上記のテーマから選択、または自身のオリジナルの研究テーマを提案し、人々の間での幸福の伝播、心身の健康、健全な「まち」の在り方に焦点を当てて調査及び実践を担う。健康のまちづくりの現場に直接関わる実践研究を通して、オリジナリティーがあり且つ有効な社会活動提言の基となる新しい概念を見つけることが求められる。同時に、もう一つのヘルスサイエンスの基礎研究を進める研究会と両輪で、これまでにない新しい「健康のまちづくり」を切り開いてゆくことが求められる。これまでの常識・社会通念を打ち破り、困難な時代から活路を見出し、より良い日本・世界の実現に向けて、ここ藤沢の地から意欲を持って取り組む学生の参加を心から待っている。