
最近の国政選挙の低投票率を見ても、国民、特に若年層の政治への関心の低下は近年顕著になっています。政治の場で予算編成、税制改正、そして各種法律の制定・改変が行われることを考えると、多くの国民がそれらに白紙委任を行っていることにほかならず、深刻な問題です。本講座においては、官僚として中央省庁に18年(うち首相官邸2年)、参議院議員として2期12年(官房副長官として首相官邸に再度勤務)活動した教官の実体験を踏まえ、日本の政治の課題を、政と官、政治と産業界との関係、選挙の構造や運動論、政治と国民の間に横たわる距離、当事者意識の欠如などの諸点を通じ、検証し、解決策を探るものです。
秋学期に開講する政策立案論において、統治機構(行政・立法)に主眼を置いて政策立案過程を解説するのに対し、本科目では、戦前と戦後の政治の変質、国会における議論現状と問題点を解説するほか、主権者たる国民が代理人としての政治家を選ぶ選挙のプロセスと、政治家と国民とのコミュニケーションの問題、国民が政治や公共政策についていかに当事者意識をもって参画できるのか等、今後の日本政治をいかに変革するかについて、受講者とともに検討を深めていきたいと考えています。一般には政策立案論から履修することを勧めますが、現代政治論からの履修も可能です。