
人々がより健康に生きる、その手段としてのコミュニケーションは、各国で社会的な要請に応えるかたちで、新しいメディアや手法も効果的に取り入れながら、ダイナミックに発展し続けてきた。本コースで扱う「ヘルスコミュニケーション」は、人々の健康にインパクトを与えうる様々な働きかけが含まれる極めて実践的なものになる。
たとえば今日、深刻な健康課題を抱えている人の多くは、社会的・経済的・環境的な複数の課題を抱えていることが多い。そうした健康課題を解決するには、本人に正しい知識(エビデンス)を伝えるだけでは不十分で、当事者をとりまく周囲の人々への働きかけをしたり、さらには社会的な環境を変えていくために政策担当者等のステークホルダーに対しても問題の重要性を訴えることも必要となる。
コースでは、健康・医療のコミュニケーションを効果的に行うための基本的な理論と概念、さらに実践を研究として結実させる方法を実例とともに学ぶ。社会において顕著なヘルスコミュニケーションの実践をしている外部講師も予定している。授業で扱う主な領域は、健康や医療の意思決定に影響を与えうる、対人コミュニケーション、メディア・コミュニケーション、ヘルス・アドボカシーになる。
対象者は2つの研究科(健康マネジメント研究科と政策・メディア研究科)の大学院生で、医療および公衆衛生、健康・医療政策に関心があり、人々の健康の問題を多様なアクターとともに理解し協働して解決する戦略、スキル、方法、アプローチを学びたい意欲ある者を歓迎する。本コースは、1日2コマ続き(4学期制対応科目)となる。講義とグループディスカッションや演習を組み合わせて、学生自身が手と頭を動かして、その日の学びを体感しながら身につけられる教授法で行う予定をしている。