
データ駆動型経済の時代にあって、AI技術は急速に発展し、Google、Amazonなど巨大プラットフォーマーにより世界規模で利用されるともに、これから様々な分野で本格的に普及していこうとする段階にあります。
AIのような情報通信技術(ICT)が潜在力を最大限発揮し経済成長と社会課題解決に貢献するには、技術が確立されるだけでなく、実際にその技術を活用する能力を人と社会が備えることが必要です。これは、市場や自由競争に任せているだけでは実現しないか、問題のある形で実現してしまうことが通常であり、様々な場面で政策介入が必要とされます。こうした政策の理解は、今後も出現していく新たなAI関連のサービス・技術を巡る社会のダイナミクスの予測や利用に資することになります。
本講義では、AI技術とその基礎となるデータ収集・分析の技術について、経済成長や社会問題解決にとっての存在意義と技術普及に対する政策支援及び政策介入の必要性を解説します。また、政策理解に必要な基礎知識の解説を行います。
その上で、AI・データを人間中心の信頼ある形で広く利用する社会の実現という観点から、プライバシー、安全性、オープンデータ、競争促進、公正・倫理性、個別分野での利用促進などの具体的な政策又は政策検討の例を取り上げ、その政策の必要性、目的、特徴や課題について、国際比較又は国際競争の視点を採り入れながら議論します。