
人間の持続的な発展には、生態系がもたらす恵み(生態系サービス)を賢く活用し、自然資本を維持していくことが必要不可欠であることは、20世紀の終わり頃から国際的にも合意され、国連によるミレニアムアセスメントにもまとめられた。自然資本は本来自律的に維持されるストックであり、生態系サービスはそこから供給されるフローであると整理される。そのような生態系サービスをより具体的に私たちの生活の中で賢く活用し、将来に残していく手法としてグリーンインフラストラクチャーが注目されるようになってきた。グリーンインフラストラクチャーとは、これまでのコンクリート主体のインフラストラクチャーの整備に、自然環境を組み合わせることにより、持続的、多機能、低コストのインフラストラクチャーとして再定義しようとするものである。近年欧米を中心に急速に注目され、施策や事業が展開されてきている。