
産業保健心理学とは,労働生活の質を高め,労働者の安全・健康・幸福(well-being)の保持・増進のために心理学の知見を適用する心理学の応用領域である。産業保健心理学が扱う「対象」は多岐にわたっており,労働者個人だけでなく,労働者が所属する組織や労働者を取り巻く職場環境も,研究や実践の対象とする。また,取り上げる「内容」も,ストレス,疾病,ケアなどのネガティブなアウトカムだけでなく,生産性,動機づけ,キャリアなどのポジティブなアウトカムも含まれる
本講義では,職場のメンタルヘルスの考え方と進め方のほか,最近のトピックである,ポジティブメンタルヘルス,余暇・休み方と健康,過労死,海外勤務者のメンタルヘルス支援,職場のいじめ・ハラスメントについても取り上げる。