
地域資源としての景観研究
徳島県名西郡神山町を対象地として、農村集落の景観調査、住民へのインタビュー、行政へのヒアリングなどを行い、地域資産としての農村景観を研究する。
「文化的景観」として提唱されている概念が示すように、景観はその地域の自然環境やそこに住む人の生業を含む総体的なシステムのあらわれであり、その保全には景観を成り立たせるシステム自体の維持・継承を図る「動態的保存」が求められる。しかし、そのシステム自体はわかりやすい形で可視化されてはいず、また、地域景観の何が保全すべき対象であるかを見定める方法や価値基準も確立されているとは言えない。地域の景観の理解のためには丹念な調査と分析、検討と議論が必要である。
神山町は傾斜地の石積みの棚田や段畑、鮎喰川沿いの農地などが織りなす山間の農村景観の美しさで知られる地域であるが、IT企業のサテライトオフィス誘致や私立の高等専門学校の設立計画が進めらるなど、今後の地域景観の急速な変化が予想されてもいる。現在、町として初めての景観計画の策定が検討されている。
本プロジェクトでは、神山つなぐ公社の協力を得て、神山町に滞在し現地の景観調査を行い、景観計画の検討への基礎資料を作成する。また調査を通じてフィールドワークの方法を学ぶ。