
芸術の開拓者は常に科学的な知識や発見を積極的に導入してきた。同様に科学の開拓者は芸術的な直感や洞察力を大切にしてきた。そもそも、芸術と科学という分類は時代によって変化してきたものであり、現代を生きる我々が芸術とみなしている過去の営みには、その当時には芸術に分類されていなかったものも少なくない。確実に言えることは、新しいものを生み出すには、特異性に基づく直感や洞察と、データや経験に基づく検証の双方が必要だということだ。
今日のように生活の隅々にまでテクノロジーが入り込み、諸問題が複雑に連関し、猛烈なスピードで社会が変化する時代には、芸術家と科学者の対話や協業はますます重要度を増している。NASA、ESA、CERNなどの研究機関がアーティスト・イン・レジデンスを招聘し、フルタイムで芸術家を雇用する時代になった。
このような認識に基づき、本プロジェクトでは、芸術と科学の融合領域や、芸術の科学、科学の芸術、等を研究テーマとした大学院生に参加を募り、研究推進のための共通の環境構築、概念構築、ディスカッション、ワークショップ等を行う。