
我々人間は知識を学び、その場の状況に臨機応変に対応して知識を活用し、知的に生活を営んでいる.様々な体験からどのように知識を学ぶのか? 知識を使うとはどういう行為か? うまく使えるためには知識をどのように頭の中に蓄えていなければならないのか? “臨機応変に”とは「言うは易し行うは難し」であることは誰でも想像がつく.では、何ができれば“臨機応変に”対応できたと言えるのか? 人工知能とは、上記のような問いに答えるための学問である.
過去半世紀の研究蓄積で多くのことが解明された。また現在、世の中を賑わしている(人工知能第三次ブームの源である)ディープラーニングは、工業的な適用範囲は広い。しかし、知能の臨機応変さについて、柔軟さについては、未だ多くのことが謎のままである.
本講義では、人工知能や認知科学で提起された様々な概念(特にフレーム問題)を紹介し、身近な例題で“知識を表現”するという行為を実践することを通して,知の本質を学び、知能科学が進むべき方向性を議論する.概念の紹介、想定できる問題の列挙、グループ課題の発表、議論を繰り返す形式で授業を行う.