多言語社会が現実のものとなる世界で、今まで存在した言語観に対し、変化が迫られる状況が出てきている。一方に英語という圧倒的に世界を席巻する言語が存在し、他方で、話者が残り数人という言語もあるが、英語は果たして一つだろうか?例えば、ロンドンの下町ことばでも、多くの移民がその地区に入ってくることによって英語的要素もあるが、何語といっていいのかわからないような言語も存在し始めている。民族が多く交わる状況で、様々な形の中間言語が生まれ、教育の分野など、それに対応せざるを得ない状況が生まれ始めている。この授業では、新しい状況の中で生まれつつある、「言語」の概念の解体を伴うような多言語化現象の中での言語観を紹介していく。