
流動的で複合的な社会の問題、すなわち政策課題をまえに、実践的な取り組みをつうじて知の蓄積を図ろうとする学問が「実践知の学問」としての総合政策学である。
いま、その意義が再認識されている。国内外の環境は大きく流動し、人々のキャリアデザインの変化を促しているように、官民間の人材流動の増加や政策・社会起業家の誕生など、人と知の流動性は高まっているからである。
では、「実践知」とは、どこに蓄積されているのか。その一つが「政策過程」であろう。「政策過程」には現実社会の問題を解決するために人や組織や社会を動かす先鋭的、専門的で、かつ領域横断的な知が埋め込まれていると捉える。
本講義は、「実践知」の姿を「政策過程」に見出し、さまざまな政策ケースや政策過程にかんする知を結集した「政策ケースブック」をつくり、SFCの新しいアカデミックコモンズの創造を試みる。
本講義はオムニバス形式によって、各回の担当者が専門的知見に基づいた新たな展開を論じ、地に足を付けながらも発展可能性のある議論を行っていく。
学部の1年生が「総合政策学」ないし「環境情報学」を履修した後にこの科目を履修することを想定しているが、2年生以上の履修も歓迎する。