
本コースは、データを理解し評価した上で、データに基づいた合理的な意思決定行うための導入となるように設計されています。
データを用いることは、研究を進める上で大きな力となります。しかし、データから正しい結論を引き出すためには、考慮しておかなくてはならないポイントがいくつかあります。例えば、データが、そのまま研究対象についての真の姿を示していることはまずない、ということがあげられます。周到に計画した実験や調査でも、測定値には様々な誤差が混入することが避けられないからです。一部のデータ(サンプル)から全体(母集団)についての知見を得ようとする統計調査の場合には、サンプリング誤差も加わり、さらに問題は複雑になります。私たちはこのような偶然による変動の影響を受けたデータと付き合い、不確実な状況の中で結論を見出していかねばなりません。
統計学は、不確実性の下でのリスクを管理し、データから合理的な結論を導きだすための方法です。本講義では、サンプルから母集団についての代用的な推測方法である、「推定」(点推定、区間推定)と「検定」(分割表の関連度の検定、分散分析、2群の平均値の差の検定)を学びます。それぞれの分析の仕組みを理解し、適切に実行し、レポートを記述できる力を身につけることを目標とします。
細かな計算技術ではなく、概念の習得と、データおよび統計解析結果の解釈に焦点を置くことと、コンピュータを用いた実験によって、理論分布についての理解を深めるなど、コンピュータ時代の統計学習を実践することが、本コースの特徴です。