
危機管理,リスク・コミュニケーション,自然災害,防災,安全文化
安全文化の醸成に関わる教材開発・研修開発,および,それらの分析
今年9月1日は大正の関東大震災から100年にあたる.相模トラフにおけるマグニチュード(M)8クラスの巨大地震はおよそ200年周期と考えられているが,過去のデータからは後半100年にM7の地震が頻発することが分かっており,首都直下地震の発生は切迫した状況にある.
そこで本プロジェクトでは,自らが被災者となりうることを前提に,いかにそれを軽減するか(ソフトウェアとしての危機管理)/いかに個々人の心のケアをするか,について集中的に学ぶ.
防潮堤建設や耐震設計などのハードウェアによる防災を除くと,危機管理には一般に,テクニカルスキルとノンテクニカルスキル(ソフトスキル)とに分類できる.たとえば,長く航空機事故について研究を進めてきた航空業界では,操縦技能などのテクニカルスキルの他に,副操縦士や客室とのコミュニケーション能力といったソフトスキルが,安全な運航のために極めて重要な役割を果たすことが分かってきている.医療事故の分析においても同様のことが指摘されており,危機管理として見落とされがちなノンテクニカルスキルこそ,組織の危機管理において重要な要素である.
本プロジェクトでは,航空業界を例にテクニカルスキルとノンテクニカルスキルについて学び,両者が両輪となって安全が担保されていること,その根底には「安全文化」があることについて深く理解し,自らも安全文化を担える人材となることを目指す.また,災害時の心の応急手当てともいえるPsychological Fast Aid(PFA)につても実技を行って習得を目指す.