
現代中国政治外交と日本:地域研究と比較政治学の対話
変わりません。
国際秩序は大きな変動期にあります。国際社会が共有してきた価値と利益に対する認識が流動し、国際社会において共通して了解されている制度(ゲームのルール)は動揺しています。日本は、既存の国際秩序の中で平和と繁栄を享受してきました。日本社会は、この秩序の変動を感度良く捉え、冷静な現状分析を必要としています。
私たちの研究会は、地域研究と比較政治学という2つのディシプリンの間を往復しながら、世界政治の焦点である現代中国に対する理解を深めつつ、世界政治を理解するための有力な手法である比較政治学を学びます。
学術的な観点からみても、地域研究と比較政治学は相互補完的な関係にあります。この結節点に中国がある、と捉えても良いでしょう。地域が分からなければ理論(比較政治学)は発展することはなく、理論が分からなければ地域を深く理解することはできません。
私たちは中国をどの様に認識するのか。国際秩序の流動を牽引する主要なアクターである中国は、もはや恣意的なイメージをもてあそんで安閑としていることの許されない巨大な対象です。研究会は、地域研究のディシプリンを踏まえて、大国としての中国を突き動かす動力への接近を試み、日本の現在と未来に決定的な影響をあたえる、中国、そして香港マカオ、台湾の政治、外交、社会への理解を深めます。
私たちはまた、比較政治学のディシプリンを駆使して、権威主義国家、新興大国である中国を理解するための手腕を研きます。比較政治学の知見をつかって中国を説明するわけです。地域研究では上手く説明することが出来ない中国について、比較政治学は明快に説明することができることがあります。私たちの研究会は、権威主義国家の政治やディシプリンを学ぶためのケースとして中国を取り扱いたい、と考える学生にも開かれています。
研究会は、中国を介して中国地域研究と比較政治学が対話する場です。現代中国に関心のある学生も、比較政治学に関心がある学生も、両方に関心がある学生も求めています。