
ネットワーク環境を前提として、私たちの「移動」に関わる諸側面の再編がすすんでいる。ソーシャルメディアにおいては、位置情報はもとより行動軌跡やアクセス履歴といった情報の活用が進み、私たちのコミュニケーションや人間関係を変容させている。
本プロジェクトは、Buscher、Urry、Witchgerら(2011)が提案する「モバイル・メソッド」の視座や「ロケーティブ・メディア(locative media)」研究(たとえばWilken & Goggin, 2014)の動向をふまえて、人、モノ、情報、アイデア等の「移動」に関わる調査・研究と、デザインリサーチやソーシャルファブリケーション領域との接続を試みるものである。「モバイル・メソッド」では、おもに地理学、社会学をベースにしながら、人びとが日常のなかで(時には不可避的に)生成し続けている多様な「生活記録(life document)」の理解と、方法論の開発、調査・研究の設計等について探究する。
2023年度春学期は、ジョン・アーリの『モビリティーズ』を読み込んでディスカッションをすすめた。秋学期は、COVID-19の影響下で暮らした経験や身体知を前提に、これからの「移動(移動性)」について、より実践的に考えてみたい。現場への介入(たとえば、トラックの荷台などに載せることのできる可搬性の高い〈何か〉をデザインするなど)を前提に、理論と実践(製作、設置、試用)をくり返しながら、プロジェクトを円環的に構成する。
本APは、別に開講されている「モバイルメソッド(プラクティス)」と連携して実施する。履修者はこれら2つのプロジェクトに登録すること。
担当:
メンバー 加藤文俊・石川初
サブメンバー 水野大二郎(政策・メディア研究科 特別招聘教授)