
ザ・インダストリアス・シティ
持続可能な都市の未来を考える本研究会では、2024年度も同テーマの研究を継続する。建築だけでは解決できない複雑な問題に対して、既存の文脈や地方の車社会、周辺の自然環境などを丁寧に分析し、建物やオープンスペースのデザインを通じて、地域全体の活性化につながる提案をしていく。
本研究会では、2021年に出版された書籍『ザ・インダストリアス・シティ』のテーマをさらに研究していく。
“都市はもともと、生産と商い、働くことと住むことが物理的、機能的に一体化した場所であった。近代産業の勃興に伴い、これらの機能を空間的に分離するためのゾーニング規制が導入されたに過ぎない。しかし、産業がデジタル化され、エミッションフリー化が進み、大量生産よりもイノベーションに基づくようになったとき、こうした規制ははたしてどのような役割を果たすのだろうか。どのように働くことと住むことを組み合わせれば、モビリティとエネルギー消費をより持続可能なものにすることができるのか。また、デジタル・ディスラプション、移民、人口動態の変化を特徴とする不安定な世界において、社会的公平性とレジリエンスに基づく都市圏を創造するチャンスはどこにあるのか。" (The Industrious City, 2021, Lars Müller Publisher)。
『ザ・インダストリアス・シティ』では、スイスのポリセントリックな都市景観を例に、生産、サービス、レジャー、生活の間にどのような新たな相乗効果を見出すことができるかを探求した。本研究会では、日本国内のケース、地方都市や過疎地において同様の研究を試みる。