
ミクロ計量経済学の基礎と因果推論の手法に関する講義を行う。たとえば、教育を受けたことが所得を増やすのにどれくらいの効果があるのか、正しく推計することは結構難しい。なぜなら、教育を長く受けられた人は、親の所得が高かったり健康であったりするなど、もともと高い所得を得られるポテンシャルを持っているからである。このような個人の属性などが所得に与える影響を考慮して、教育投資の真の効果を測定するのがミクロ計量経済学の一つの目的である(もちろん、教育や労働に限らず、医療やビジネスなどさまざまなテーマが分析の対象となる)。
講義の前半では、最小二乗法(ordinary least squares; OLS)の計算と結果の解釈、OLS推定量が統計的に望ましい性質を持つために必要な仮定を学ぶ。後半では、OLSの仮定が満たされない場合に、因果推論を行うためのさまざまな手法を紹介する。