
この授業では、主に人文学の見地から、現代社会の諸問題について考えていくことを目的とする。グローバリーゼーションの世界とは、単一の価値基準によってつながる世界であると楽観する前に、果たしてそもそも、人と人は理解しあっているのだろうか、という問いをたずさえることからこの授業は出発する。人と人がコミュニケーションを取るととき、そこには多くの場合言葉が介在するが、その言葉は果たして無色透明な道具として機能しているだろうか?また「人」と「人」と言う時、その「人」は果たして同じ価値基準をもって交流しているのだろうか?
この授業は以上のような問題意識にたち、現実の事象を扱う手前で、「言語」と「人間」の意味について哲学・文学・歴史・芸術といった観点から考察を加えていくつもりである。