
1980年代後半からはじまったソ連のペレストロイカにより、世界の共産主義国家は大きく揺らぎ、1991年末のソ連崩壊で、旧ソ連と東欧諸国は共産主義を放棄し、共産主義の夢は消えたかに見えた。しかしながら、東アジア、東南アジアには、かつての体制に修正は見られるものの、共産主義国家が根強く残っている。また、旧ソ連の諸国も、「共産主義を捨てた」といいながらも、現在、政権を握っている者の多くは、共産主義時代のエリートであり、一部では共産主義勢力の復活も起きている。一方、旧共産主義国家に対しては、国際社会から民主化の圧力が強くかけられているが、それが実効的かどうかは判断が分かれるところだろう。
本講義では、主に旧ソ連のCIS諸国におけるソ連崩壊後の政治変動に注目しながら、他の体制との比較を交えつつ、現在の、もしくは過去の共産主義国家の体制およびその変動を地域的、時期的に比較することを目的とする。
また、なかなかフォーカスされることのないロシアの選挙、それに関わる政治変動にフォーカスすることは実に興味深いと考え、ゲスト講演を予定している。
なお、担当者が春学期に開講している「地域と社会(欧州・CIS) 」とセットで履修すると、より理解が深まるだろう。