
本授業では、中国現代文学の作品を精読することによって、主に中国語読解力のスキルを身に着けることを目的とする。
使用するテクストは、<打工文学>の代表作として高く評価された『我是范雨素』というノンフィクション作品である。
<打工>とは農村から都会に出稼ぎに行くことですが、その労働者たちによって中国の高度経済成長が支えられてきたし、彼らの運命の中に中国現代社会の諸々の側面ないし矛盾が投影されている。長い間、彼・彼女たちは沈黙の多数であったが、近年、その中から何人もの優れた表現者が頭角を現して、注目を浴びている。
『我是范雨素』の作者は個人史と家族の運命を描いているが、そこから現代中国の歴史と社会をリアルに読み取ることもできる。ただし授業の主目的はあくまで中国語の読解力の向上であり、まずはテクストをしっかり読み込んで、力強くてユーモアに溢れた言葉を味わおう。