
ネイチャーポジティブ
ネイチャーポジティブ
21世紀は環境の世紀であると言われていました。もう20年以上が過ぎましたが、気候変動、生物多様性、自然資源、廃棄物など、どの課題をとっても20世紀より改善されているとは言えない状況です。温室効果ガス削減については、2015年に合意されたパリ協定により2100年時点の平均気温の上昇を2度とすることが目標として設定され、できれば1.5度に抑えることが望ましいとされました。最近の研究によれば、このままでは2030年代には1.5度を超えてしまうと予測されていて、カーボンニュートラルへの移行が待ったなしの状態です。生物多様性については、2022年12月に新たな国際目標が合意され、「2030年までに生物多様性の損失をくい止め、反転させて、回復軌道に乗せる」、いわゆる「ネイチャーポジティブ」が示されました。生物多様性に限らず、これまで人類は自然資本を使い尽くして豊かで便利な社会を実現してきました。しかし、プラネタリーバウンダリーという考え方で示されたように、人類は地球の許容範囲を超えて様々な資源利用を進めていて、そのことが環境の不安定さの増大につながっています。近い将来の災害の多発や深刻な食糧不足などが予測されています。私たちの将来の社会の持続可能性を確保するためには、自然を毀損する(ネイチャーネガティブ)時代から自然を回復する(ネイチャーポジティブ)時代に早急に転換しなければなりません。本研究会「ネイチャーポジティブ」では、世界の課題を理解し、将来を変える具体的なアクションを起こすことを目標としています。