
選択分析:政策と日常生活
選択分析:政策と日常生活
この研究会では日常に深く根ざす人間の行動に注目する。その観察と分析のための鍵になる概念にはリスク、選択、意思決定、そして日常生活などがある。
人間の一生とか日常生活は自分自身の努力だけで作りあげられるものとは考えない。それは自分が一員である大きな集団(家族、地域社会、社会さらにはネットワーク型の集まり等々)で共有される価値に触れ、それを理解し、取り入れてゆこうという“交渉過程”を通じて構築してゆくものなのである。言い換えると、物理的・社会的環境の変化が続く中で自分達自身も変化しつづけるということである。
ただし、自分達の行動に現れる変化が生き方を支える一貫性を犠牲にするというわけではない。この一貫性は日常のルーティンからの逸脱を最小限度に抑えようとする努力を支えている。上で述べた“交渉過程”を通して価値あるものとして取り入れた物事とか人間関係が中断するとか亀裂を招くような状況に接した時、それを抑えようとする努力を支えるものであり、あるいはそうした状況が生み出す“ロス”を抑えようとする努力などにも見られる。
自分達の行動とかそれをめぐる語り(ナラティヴ)は自分達の生き方をそのまま反映するだけではなく、自分達が所属する社会的なるもの・文化的なるものを“表現”するものでもあることに注目したい。
調査・研究の理論的基盤とツール:知識社会学、政治社会学、認知心理学、行動経済学、事例研究、フィールドワーク、ナラティヴ分析.
研究分野と課題:開発、貧困、教育、心身障害、ヘルス、人間の安全保障、自然災害対策等々様々な条件の下での人間の日常生活に関わる政策課題を研究調査の分野として取り上げている。
調査現場:ベトナム(ホーチーミン・シティ、中部ビン・ディン省)、ラオス(ビエンチャン地区)、日本(裾野市須山地区, 東北地方海岸部、その他)など。