
流動的で複合的な社会の問題、すなわち政策課題をまえに、実践的な取り組みをつうじて知の蓄積を図ろうとする学問が「実践知の学問」としての総合政策学である。
国内外の環境は大きく流動し、人々のキャリアデザインの変化を促しているように、官民間の人材流動の増加や政策・社会起業家の誕生など、人と知の流動性は高まっている。ある一つの領域を深く掘り下げ、一つの高みにむかって突き進んでゆくというキャリアパスだけでなく、リボルビングドアのように異なる領域を往来しながらキャリアを豊かにしてゆくという生き方も選ばれている。いずれのキャリアを歩むとしても、豊かな「実践知」は、その行方に大きく影響する。
現実社会において「実践知」は、様々な政策課題を解決するに到る政策過程に宿る。「政策過程」には現実社会の問題を解決するために人や組織や社会を動かす先鋭的、専門的で、かつ領域横断的な知が埋め込まれていると捉える。
2023年度秋学期開講の「日本研究概論1」と2024年度春学期開講の「日本研究概論2」は、「実践知」の姿を「政策過程」に見出し、履修者は「政策過程」の追体験をつうじて「実践知」を学ぶ。
2024年度春学期開講の「日本研究概論2」は、2023年度秋学期に開講した「日本研究概論1」の成果を再考し、精度を高めた政策ケースを完成させる。想定する目標は『SFC JOURNAL』 誌への投稿が可能な水準への到達である(なお、実際に投稿するために、インタビュー対象者の同意、および情報公開にかかる制約の確認などが必要)。