
危機管理,リスク・コミュニケーション,自然災害,防災,安全文化
大地震などの突発災害では,同時多発的に多くの傷病者が発生したり,ベストがない状況下でベターな選択肢が何なのかを次々に迫られる状況になる.実際に,これらの状況を再現した訓練を学校などの施設で行うと,訓練を繰り返すごとに,個別の参加者の災害時対応能力はもちろん,チーム力そのものも向上していくようすが観察されている.
このことは,瞬時の身の守り方や傷病者対応などの個別の災害時対応能力が高くとも,チームとして機能しなければ,最大のパフォーマンスを出せないことを示唆している.実際,大地震よりも低頻度である航空機事故や医療事故を想定して訓練をされている組織では,このチーム力を大事にしている.
そこで本講義では,常に安全を基盤としてチームで事態に対処している航空安全の知見をもとに,機能するチームとは何かを考える.得られた知見を,履修者それぞれの所属するチームに適切に適用して,安全文化を築く礎とする.