
確かな知識を編纂し、人生を切り拓く力に――。ソーシャルメディアで個人の意見が「見える化」される一方で非対称なクラスターに分かれ、偏りや虚偽が入り交じった情報が溢れています。AI(人工知能)が急速に進化し、オンラインのテキストを大量に学習していますが、すべての情報がテキスト化されるわけではなく、日々の変化の背後に起こっていることに思いを巡らせる知恵が必要です。日々社会で起こっている出来事の中から変化の本質を理解し、伝え、行動する技術を身につけることが誰にとってもますます重要になっています。
この科目では、経済学や経営学などの理論や考え方のうち、実社会で話題にされることの多い基礎知識を押さえたうえで、自らそうした知識を「編纂」し、生かすための考え方を学びます。毎週提示される300字~600字程度までの課題や中間課題、最終課題を通じて思考経路を増やし、視野を広げ、目利き力や表現力、知見をまとめる力などを総合的に養います。
講義や演習などに加え、プロフェッショナルな国内外の方々のゲスト講義、グループワークを織り交ぜて展開する予定です。講義最終日は、米国の経営学者で最も詳細に日本企業と日本経済をウオッチしてきたウリケ・シェーデ米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授をZoomでお招きし、日本社会への独自の洞察を特別に講義していただきます。
講師は朝日新聞や経済誌「日経ビジネス」、英文メディアNikkei Asia、オンラインメディア「日経ビジネスオンライン」(現日経ビジネス電子版)や学術系書籍の記者・著者・編集者などとして約30年幅広く様々な経験を積みました。
この15年ほどはとりわけ、ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者リチャード・セイラー教授や、世界的な経営学者マイケル・ポーター教授をはじめ数多くの海外の世界最高峰の経済学者・経営学者にインタビュー。学術系論文を一般向けにかみ砕いた寄稿の編集や英文翻訳記事の編集するなどで発信してきました。2023年には書きためた経済学・経営学系のインタビュー記事に基づく編著を3冊出版(参考文献参照)、うち『世界最高峰の経済学教室』は週刊東洋経済(東洋経済新報社)、週刊エコノミスト(毎日新聞社)、聖教新聞などの書評欄にて大きく紹介されました。近年は独立行政法人経済産業研究所(RIETI)での職務も兼任しています。
講師の広汎で独特なジャーナリズム経験とネットワークをベースに、非専門家として社会を見つめるための「知識編纂」の技法を学んでいきます。