
この授業は、中東のなかでもアラビア語を母語とするアラブ人が主に構成する「アラブ世界」や「アラブ諸国」と呼ばれる地域について、その社会と文化に対する理解を深めることを目的としている。アラブ世界に対する日本での関心は、テロや石油といった政治経済面に偏りがちであり、その地に生きる人々の日常生活や文化に対しては、残念ながらいまだに無理解や偏見が根強くある。この授業では、アラブ世界の歴史遺産のみならず、現代の生活文化や最新のアートまで幅広い事例を紹介し、近代化、大衆化、情報化、グローバル化といった時代の変化の中で形成されてきた現代アラブ文化の実像に触れることで、アラブ世界に対する画一的な認識に変更を迫りたい。今学期は特に授業後半において、緊迫するパレスチナ・ガザ情勢について、歴史文化の面から考察する機会を設ける。