
人間を含む生物は生きていくために食べなければならず、安定的に食べるものを確保するために、人間は農耕を始め、そこから文明を発達させてきた。しかし発達の結果として分業が進み、昨今では日々の暮らしと農業が分断されている状況にあり、生命を支える根底に農業があることを認識する機会が少なくなっている。多くの国民は、農業の実態だけでなく、農業が営まれていることによって形成されてきた環境や社会や文化について知る機会がほとんどない。本講座では、持続可能な社会における農業の存在意義・多面的機能などを、5つのキーワード(環境、教育、観光・インバウンド、福祉・ウェルビーイング、エネルギー)から、九州・阿蘇と藤沢市で農業を営む2人の卒業生と一緒に考察していく。食料生産にとどまらない農業の幅広い役割を深掘りすることで、持続可能な未来の設計について考える。