
この授業では、日本生まれのイギリスの小説家・脚本家のカズオ・イシグロ(1954-)による小説、Klara and the Sun (2021)を取り上げます。イシグロは2001年と2015年に慶應義塾大学を訪れており、本学ともゆかりの深い作家です。本作はイシグロが2017年のノーベル文学賞受賞後初の長編小説で、Artificial Friend(人工の友だち)と呼ばれる人型ロボットを主人公にしています。比較的読みやすい英語で、A.I.、孤独、信仰、格差、環境汚染など、21世紀の世界が抱える課題を浮き彫りにしています。1つの文学作品を精読しながら、これらのテーマについて英語で深く考え、自分の意見を適切な英語で表現できるようにします。
授業はグループ活動を中心に進めていきます。毎回相応の分量の英語を読んでいきますが、その過程で履修生は英語の読解力・語彙力、議論の能力を着実に磨いていきます。イシグロのインタビュー動画などの視聴覚資料も用いて、日本にルーツを持った今を生きる国際的作家の「声」に触れながら授業を進めていきます。